急な出費や失業などの理由で、「明日からの生活費がなくて困っている…」という時に大抵の方は、カードローンの利用を検討するかと思います。
ただ、本当にお金に困っている状況の方であれば、市役所でお金を借りられる可能性があることをご存知ですか?
市役所では、「生活福祉金貸付制度」という制度が設けられており、この制度を利用すれば、ある程度の金額を融資してもらうことができます。
- 「具体的にどんな制度なの?」
- 「生活保護を受けてても借りられるの?」
- 「無職でも大丈夫?」
今回は、上記のような疑問をお持ちのあなたに、生活福祉金貸付制度の詳しい内容や、利用できる条件などについて解説していきたいと思います。
ただし、注意点として先にお伝えしておきますが、市役所からお金を借りる場合は、即日融資してもらうことができません。
市役所でお金を借りられる?「生活福祉金貸付制度」とは
生活福祉資金貸付制度を簡単に説明すると、経済的支援が必要な世帯(低所得世帯や高齢者世帯、障害者世帯、失業者世帯)の方が、一時的に公的機関からお金を借りることができる制度のことを指します。
基本的には、お住いの地域の市役所や区役所にある「市区町村社会福祉協議会」に相談し、そこで支援資金の貸付が必要と判断されれば、お金を借りることができます。
通常のカードローンと比べても非常に低金利なのが特徴で、1.5%~3.0%の金利でお金を借りることができます。
市役所で借りれる生活福祉金貸付制度の種類
生活福祉資金貸付制度には、大きく分けて以下の4種類の貸付金が存在します。
- 総合支援資金
- 福祉資金
- 教育支援資金
- 不動産担保型生活資金
借りられる金額や、利用できる用途がそれぞれ異なりますので、詳しく紹介したいと思います。
総合支援資金
総合支援資金は「生活支援資金」「住宅入居費」「一時生活再建費」という3種類に分けられており、使用する目的によってどの種類の融資を受けることができるか決まります。
資金の種類 | 資金の目的 | 借入限度額 |
---|---|---|
生活支援資金 | 生活再建までの間に必要な生活費用 | 2人以上の世帯:月20万円以内 単身世帯:月15万円以内 |
住宅入居費 | 敷金、礼金など住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用 | 40万円以内 |
一時生活再建費 | 生活を再建するために一時的に必要、 かつ日常生活費でまかなうことが困難である費用 | 60万円以内 |
ちなみに、一時生活再建費の「生活を再建するために一時的に必要、かつ日常生活費でまかなうことが困難である費用」とは、就職・転職のための技能や資格の習得、債務整理をするために必要な費用などのことを指します。
また、それぞれの種類ごとに借入できる金額も異なっており、最高でも一時生活再建費の60万円が上限になっています。
共通して年1.5%の金利がかかりますが、連帯保証人がいれば無利子で利用することも可能です。
福祉資金
福祉資金は低所得世帯、障害者や介護を必要とする高齢者のいる世帯を対象とした貸付資金です。
使用用途は様々ありますが、代表的な例としては以下のような費用に使うことができます。
- 生業を営むために必要な経費
- 福祉用具などの購入に必要な経費
- 介護サービスや障害者サービスなどの利用料と、その期間中の生計維持費
- 被災により必要になった費用
- 冠婚葬祭費など
最高で580万円までの融資をしてもらうことが可能で、総合支援資金と同じく年1.5%の金利がかかりますが、連帯保証人がいれば無利子で利用できます。
教育支援資金
教育支援資金は、「教育支援費」「就学支度費」の2種類に分けられており、進学予定、もしくは在学中のお子様をお持ちの保護者の方を対象とした支援資金です。
2つの支援資金には、それぞれ以下のような違いがあります
資金の種類 | 資金の目的 | 借入限度額 |
---|---|---|
教育支援費 | 高等学校や高等専門学校、大学への就学費用 | 高校:月3.5万円 高専:月6万円 短大:月6万円 大学:月6.5万円 |
就学支度費 | 上記学校への入学に必要な経費 | 50万円 |
これだけ見るとあまり違いが分からないかもしれませんが、簡単に説明すると「教育支援費」は毎月の学費など、「就学支度費」は入学金などの費用が該当します。
また、こちらは上記の貸付資金と違って、連帯保証人がいなくても無利子で利用することが可能です。
ちなみに、公的機関から必要性が認めらた場合、教育支援費の借入限度額は各限度額の1.5倍まで貸付してもらうことができます。
不動産担保型生活資金
不動産担保型生活資金は、「土地や家はあるけど生活するお金がない」という高齢者の方を対象とした支援資金です。
現在所有している居住用不動産を担保に生活費を借り入れることにより、世帯の自立支援を図ることを目的としています。
借入限度額は、居住用不動産(土地)の評価額の70%(集合住宅の場合は50%)まで借りることが可能でして、1月あたり30万円以内の額を3ヶ月分ごとにまとめて貸付してもらえます。
毎月の金利は3.0%、もしくは長期プライムレート(金融機関が優良企業向けの長期貸出(1年以上の期間の貸出)に適用する最優遇金利)のいずれか低い利率が適用されます。
緊急小口資金
上記で紹介した福祉資金には、実はもう1つ「緊急小口資金」という種類の支援資金が用意されています。
緊急小口資金は、経済的に困窮していて貯蓄もなく、一時的に生活費が必要な方を対象としています。
例えば、「病院に行きたいけど行くお金がない」「盗難にあって一時的にお金がない」などの緊急性が高い場合に利用を認められることが多いようです。
ただし、あくまで緊急時に借りるお金という位置付けなので、最大で10万円までしか借りることができません。
ちなみに、連帯保証人などは用意する必要がなく、無利子で利用することができます。
即日でも借りられる?市役所から最短でお金を借りるには
お金を借りるまでの期間は、「短ければ短いほどいい」という人がほとんどだと思いますが、市役所でお金を借りる場合は実際にどのくらいかかるのでしょうか?
実際に市役所、消費者金融、銀行でお金を借りる場合にかかる期間を比較した結果がこちらです。
借入先 | 最短で借入するまでの目安期間 |
---|---|
総合支援資金 | 最短1ヶ月 |
福祉資金 | 最短1ヶ月 |
教育支援資金 | 最短1ヶ月 |
不動産担保生活資金 | 最短1ヶ月 |
消費者金融カードローン | 最短即日 |
銀行カードローン | 最短2~3日 |
この結果から分かる通り、市役所からお金を借りる場合は最短でも1ヶ月以上かかってしまいます。
市役所でお金を借りられるのはどんな人?
市役所でお金が借りられると言っても、どんな人でも借りられるという訳ではありません。
通常のカードローンと同じように、借りられる条件が決まっているので詳しく紹介したいと思います。
借りられる人の条件
市役所からお金が借りられる対象としては、次のような条件を満たす世帯の方が該当します。
生活福祉資金貸付制度 の対象世帯 | 条件 |
---|---|
低所得者世帯 | 支援を受けることにより、独立自活できると認められた方 必要な資金を他から借り受けることが困難である方 |
障害者世帯 | 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方 |
高齢者世帯 | 65歳以上の高齢者(日常生活上療育または介護を要する高齢者など)がいる世帯の方 |
失業者世帯 | 生計中心者の失業により、生計維持が困難になった方 |
このように利用する条件としては、かなり細かく定められています。
また、公的な融資でもあるので、審査の難易度としても一般的には高いと言われています。
借りられない人
逆に、以下に該当する方は生活福祉資金貸付制度を利用することができません。
- 生活保護受給者の方
- 債務整理予定の方
また、上記に該当しない方でも、収入面や、抱えている債務などの観点から返済能力がないと判断されてしまうと審査に落ちてしまうようです。
無職の場合でも借りれる?注意すべきポイント!
生活福祉資金貸付制度は無職の方でも利用することが可能です。
ただし、誰でも借りられるという訳ではなく、積極的にハローワークなどで仕事を探している方に限ります。
逆に、就職活動をしていない無職の方は利用することができませんので、現在無職でお金を借りる必要があるという方は、まずハローワークなどで就職活動をしてから申請するようにしましょう
また、失業中の方が申請した場合は、基本的に生活保護や失業保険の利用が優先されます。
なにかしらの事情で、「どうしても生活福祉資金貸付制度を利用したい」という方は、一度お近くの市区町村社会福祉協議会に相談してみるのがおすすめです。
ちなみに、無職でお金を借りる方法は、生活福祉資金貸付制度を利用する以外にも色々な方法があります。
詳しい内容は以下の記事で解説していますので、「就職活動するためのお金がない…」「無職でお金を借りる方法を知りたい」という方はぜひ見てみてください。
無職の方がお金を借りる方法をまとめた記事は下記を参考にしてください。
⇒無職でもお金を借りる方法!失業中・年金受給者・主婦のための必読情報!
市役所でお金を借りる方法のまとめ
今回は生活福祉金貸付制度の詳しい内容や、利用できる条件について紹介しました。
- 通常のカードローンと比べると低金利
- 審査は簡単ではない
- 条件を満たせば無職でも利用可能
- 申請から利用できるまでは最短でも1ヶ月かかる
生活福祉資金貸付制度は、通常のカードローンより低金利です。
ただ、低金利だからという理由で、他のカードローンを利用できる状態なのに申し込んでも、申請を却下される確率が非常に高いです。
生活福祉金貸付制度はあくまで最後の手段として考えましょう。