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【借入れの基本情報】総量規制とは?わかりやすく解説!3分の1以上借りる方法なども紹介
この記事は社会人の方に向けた内容です
社会人の方の中には、「年収の3分の1を超えてお金を借りることはできない」といった総量規制のルールをご存知の方も多いでしょう。総量規制は貸金業者に対して適用されるもので、銀行や信用金庫などは対象外です。また、貸金業者の融資制度でも、総量規制の対象外となるものもあります。
このように、お金を借りるうえで総量規制について理解を深めておくことは、カードローンや住宅ローン、自動車ローンなどさまざまな場面でお金を借りる機会が増える社会人にとって重要です。本記事では、総量規制について詳しく解説します。
目次
総量規制とは?年収の1/3を超える貸し付けを禁止する制度
総量規制とは、貸金業法に基づいて、個人に対して年収の3分の1を超える貸し付けを禁止する制度です。(参考:貸金業法第十三条の二)貸金業者による個人の借入総額を年収の3分の1以内に制限することにより、過剰な貸付を抑制し、多重債務問題の予防を目的としています。
例えば、年収300万円の人が借入れできるのは、年収の3分の1である100万円までです。
ただし、住宅ローンや自動車ローン等の例外規定も設けられています。
総量規制が適用される金融機関
総量規制が適用されるのは貸金業者です。具体的には、消費者金融やクレジットカード会社などが該当します。一方、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫などは、貸金業法ではなく銀行法等に基づき運営されているため、総量規制の対象外となります。(参考:金融庁)
総量規制が適用される金融機関 | 総量規制が適用されない金融機関 |
---|---|
・消費者金融 ・信販会社 ・クレジットカード会社 | ・銀行 ・信用金庫 ・信用組合 ・労働金庫 |
つまり、銀行や信用金庫などでは、年収の3分の1を超える借入れも可能です。
ただし、総量規制が適用されない金融機関であっても独自の審査基準を設けており、年収や返済能力を考慮したうえで貸付額を決定します。そのため、総量規制の対象外だからといって、必ずしも年収の3分の1を超えて借入れができるとは限りません。
「年収」の根拠になるものとは
総量規制の基準となる年収は、主に次のようなものが該当します。
- 給与
- 年金
- 恩給
- 定期的に受領する不動産の賃貸収入(事業として行う場合を除く)
- 年間の事業所得(過去の事業所得の状況に照らして安定的と認められるものに限る)
例えば、給与が300万円、年金が100万円、不動産の賃貸収入が200万円ある場合、年収は「600万円」となり、総量規制は200万円です。
総量規制の計算例
年収ごとに、総量規制の計算例をまとめてみました。
年収 | 借入限度額 |
---|---|
300万円 | 100万円 |
400万円 | 120万円 |
500万円 | 150万円 |
600万円 | 180万円 |
700万円 | 210万円 |
800万円 | 240万円 |
900万円 | 270万円 |
1,000万円 | 300万円 |
年収がいくらであっても、「借入れできるのは3分の1以内である」という総量規制のルールは変わりません。
総量規制以上を借りたいときは?
貸金業者は総量規制があるため、年収の3分の1を超えてお金を貸し出すことはできません。ただ、人によっては「年収の3分の1を超えて借入れしたい」という状況に立たされることもあるでしょう。
そこで、ここでは総量規制以上を借りたいときの方法を3つ紹介します。
総量規制対象外となる借入れを利用する
総量規制対象外となる借入れを利用する場合、選択肢は2つです。
- 貸金業者において、総量規制の対象外となる借入方法を利用する
- 総量規制の対象とならない金融機関を利用する
まず、貸金業者の中でも、総量規制の対象外となる借入方法があります。どのようなものが総量規制の対象外になるのかはこちらを参考にしてください。
また、貸金業者以外から借入れることで、年収の3分の1を超えてお金を借りられる可能性もあります。例えば、銀行や信用金庫といった金融機関は貸金業者には該当しないため、総量規制の対象外となります。金融庁においても、次のように回答が示されています。
Q2-12. 銀行(信用金庫、信用組合、労働金庫、農協等)からの借入れも合わせると、借入残高が年収の3分の1を超えてしまいます。これ以上の借入れはできないのですか? |
A2-12. 総量規制は、貸金業者からの借入れを対象としており、銀行の貸付けは貸金業法の規制(総量規制)の対象外です。したがって、銀行等からの借入れを合わせた結果、借入残高が年収の3分の1を超えていたとしても、ただちに総量規制には抵触しません。また、銀行のカードローンも、一般の銀行等の借入れ同様、総量規制の対象とはなりません。 |
既存の借入れを減らす
既存の借入れが減れば、借入の余地を増やすことができます。例えば、年収300万円の人がA社から80万、B社から20万円借りている場合、B社を全額返済できれば、20万円を新たに借入れることが可能です。
借入先が多い場合は、後述する「おまとめローン」などの利用がおすすめです。おまとめローンは一定の条件を満たすことで、総量規制の対象外になります。
年収自体を増やす
総量規制の上限は年収によって決まるため、年収自体を増やすことができれば借入限度額も増加します。年収アップの方法は、大きく分けて3つあります。
- 現在の職場で昇給を目指す方法
- 転職によって年収アップを目指す方法
- 副業によって新たな収入源を作る方法
まず、現在の職場においても、成績を向上させたり資格を取得したりすることで昇給や昇格につながり、年収アップが見込めます。また、転職によって収入アップできれば、その分、総量規制も高くなります。例えば、年収300万円から600万円にアップすれば、借入れられる限度は100万円から200万円に増えます。
副業によっても、年収を増やすことができるでしょう。ただし、上述したように、年収として認められるには、副業の収入が「給与」か「年間の事業所得」であることが重要です。
総量規制対象外になる主な借入れ方法
貸金業者の融資においても、次の借入れ方法は総量規制の対象外です。
おまとめローン
おまとめローンは、複数の借入を一つにまとめるローンです。例えば、複数の消費者金融やクレジットカード会社から借入がある場合、おまとめローンに借り換えることで、金利の低いローンに一本化したり、返済期間を延長したりできます。また、複数の借入先への返済を一本化することでできれば、管理の手間が省けるでしょう。
ただ、必ずしもおまとめローンが総量規制の対象外になるとは限りません。一定の条件をクリアする必要があります。条件は次のとおりです。
- 借換えの対象となる債務は、貸金業者からの借入債務全般。銀行からの借入債務や、親族・知人などからの借入債務は対象になりません。
- 「借換え後」の金利が、借換え前の金利を上回らない。
- 返済方法は、約定に基づく返済により段階的に残高を減らしていくことを要件とする。
- 1か月の負担額について、借換え後の負担額が、借換え前の負担額を上回らない。
- 担保・保証に係る要件について、借換え後の条件が、借換え前の条件より厳しくならない。
例えば、金利が借り換え前の金利が1%、借り換え後の金利が2%だった場合、上記の②に反するため、対象外とはなりません。
上記のルールをしっかりと把握したうえで、おまとめローンを利用しましょう。
住宅ローンや自動車ローン
住宅ローンと自動車ローンは一般的に借入額が大きくなり、返済期間も長期にわたるため、総量規制の対象外となっています。ほかにも、次のローンが総量規制の対象外です。
- 高額療養費の貸付け
- 有価証券を担保とする貸付け
- 不動産(個人顧客または担保提供者の居宅などを除く)を担保とする貸付け
- 売却予定不動産の売却代金により返済される貸付け
ただし、住宅ローンや自動車ローンはそれぞれ住宅や自動車の購入を目的としたローンであるため、ほかの用途に利用することはできません。
配偶者貸付
配偶者貸付とは、配偶者の年収を合算して借入れできる制度です。通常、総量規制では本人の年収の3分の1までしか借入れできませんが、配偶者貸付を利用することで、配偶者の年収を加えた世帯年収の3分の1まで借入れが可能となります。
例えば、次のようなケースを想定してみましょう。
- 夫の年収:300万円
- 妻の年収:100万円
妻が借入れできるのは、30万円までです。配偶者貸付を利用すれば、夫(配偶者)の年収と合わせて400万円、つまり120万円の借入れが可能になります。
配偶者貸付には次の書類が必要です。
- 配偶者の収入を証明する書類
- 夫婦間の身分関係を証明する公的書類(住民票・戸籍抄本など)
- 配偶者貸付を締結することについての配偶者の同意書
- 指定信用情報機関への信用情報の提供などに関する配偶者の同意書を提出することが必要です。
また、配偶者の同意も必要です。
さらに、配偶者貸付を利用すると、「配偶者の借入限度が減ってしまう」という注意点もあります。例えば上記の場合、400万円を借入れてしまうと、配偶者である夫の総量規制をすべて使い切ることになります。つまり、新たに借入れすることはできません。
クレジットカードのショッピング枠
クレジットカードのショッピング枠は商品やサービスの購入に利用できる枠で、総量規制の対象外です。ショッピング枠の利用は「借入れ」ではなく、カード会社による「立替払い」とみなされるためです。
一方で、クレジットカードのキャッシングは総量規制の対象です。
銀行カードローン
銀行のカードローンは銀行法に基づき運営されているため、総量規制は適用されません。したがって、銀行カードローンを利用すれば、年収の3分の1を超えて借入れできる可能性があるでしょう。
ただし、銀行も貸金業者と同じく、既存の借入額を確認したうえで、年収や返済能力などを踏まえ貸付額を決めます。そのため、必ずしも年収の3分の1を超えて借入れできるとは限らない点に注意が必要です。
総量規制に関する注意点
総量規制には、ほかにも知っておくべき注意点がいくつかあります。お金を借入れる前に、総量規制に関する注意点を頭に入れておきましょう。
「年収の3分の1以内」とは限度額の合計を意味する
総量規制における「年収の3分の1以内」とは、借入限度額の合計を意味します。複数の消費者金融やクレジットカード会社から借入がある場合、それぞれの借入限度額を合計した金額が、年収の3分の1を超えてはいけません。
例えば、年収300万円の人が、A社から50万円、B社から30万円の借入限度額を得ている場合、C社からは20万円までしか借入れできません。複数の借入先がある場合は、それぞれの借入限度額と合計金額をよく確認することが重要です。
必ずしも年収の3分の1まで借りられるわけではない
総量規制では借入限度額を「年収の3分の1まで」と定めていますが、必ずしもその額まで借りられるとは限りません。
各貸金業者は総量規制に加えて、独自の審査基準を設けています。年収の3分の1の範囲内であっても、信用情報に問題があったり安定した収入がなかったりする場合は、希望額を借りられない、あるいは借入自体を断られる可能性もあります。
申し込む際に年収を誤魔化したり偽ったりしてはいけない
貸金業者に融資を申し込む際、年収を誤魔化したり偽ったりすることは絶対にやめましょう。年収を偽って多く申告した場合、詐欺罪、有印私文書偽造・同行使罪などの罪に問われる可能性があります。
どちらも非常に重い罪であり、懲役刑が科せられる可能性があります。
詐欺罪 | 有印私文書偽造・同行使罪 |
---|---|
10年以下の懲役刑 | 3ヶ月以上5年以下の懲役刑 |
また、既存の借入残高を含めて50万円を超える借入れを新たに行う場合、「年収を証明する書類」が必要になります。(参考:金融庁)
主な書類は次のとおりです。
- 源泉徴収票(直近の期間に係るもの)
- 支払調書(直近の期間に係るもの)
- 給与の支払明細書(直近の2カ月分以上(地方税額の記載があれば1カ月分)のもの)
- 確定申告書(直近の期間に係るもの)
- 青色申告決算書(直近の期間に係るもの)
- 収支内訳書(直近の期間に係るもの)
- 納税通知書(直近の期間に係るもの)
- 納税証明書(直近の期間に係るもの)
- 所得証明書(直近の期間に係るもの)
- 年金証書
- 年金通知書(直近の期間に係るもの)
出典:金融庁|貸金業法Q&A
年収を誤魔化したり偽ったりする行為は、必ず見つかります。申し込む際は、本当のことだけを記載しましょう。
まとめ
総量規制は過剰な貸付から個人を守る制度です。消費者金融などからお金を借りる場合は、貸金業法に基づいて「年収の3分の1までしか借りられない」という点を理解しておきましょう。
銀行や信用金庫であれば、貸金業法ではなく銀行法に基づくため年収の3分の1を超えて借りることができます。ただし、銀行や信用金庫も貸金業者と同じく、基本的には信用情報を確認したうえで融資限度額を決めます。そのため、「年収の3分の1を超えて借りられる」と期待しすぎることはおすすめしません。
何より、年収の3分の1以上を借入れると、月々の返済が大きな負担になってしまいます。しっかりと返済計画を立てたうえで、無理のない借入れをすることが大切です。